Ethereum(イーサリアム)にはテスト環境が複数存在します。
ここでは、それらについてご説明します。
Ethereum(イーサリアム)テスト環境とは
Ethereum(イーサリアム)には、通常のユーザーが見たり、アクセスしたりしている本番環境とは別に開発者向けの環境が用意されています。前者をメインネット(Main net)と呼び、後者をテストネット(Test net)と呼びます。
Ethereum(イーサリアム)における開発、テストにあたっては、プログラムのブロックチェーンへの登録や実行に暗号通貨Etherが必要となります。これを本番環境で実施すると、開発者への金銭的負担が多くのしかかってしまいます。これを解決するために存在するのが、Ethereumのテストネット環境です。
テストネット環境は本番のメインネットと同様のブロックチェーン環境を持っています。その環境で使用するEtherはフォーセット(Faucet)と呼ばれるサイトで無償で受け取ることができます。なお、あくまでテスト環境用の仮想通貨ですので、この通貨をメインネットへ転送して換金するようなことはできません。
複数のEthereum(イーサリアム)テスト環境
Ethereum(イーサリアム)のテストネットは現在6つの環境が存在します。(2022/9/25現在)
- Goerli(ゴエリ)
- Sepolia(セポリア)
- Ropsten(ロプステン)
- Rinkeby(リンキビー)
- Kovan(コバン)
- Kiln(キルン)
このテストネットの一部は、MetaMaskからも確認ができます。MetaMaskのブラウザアプリを開いた際の最上部中央に MetaMask接続先のネットワークが表示されています。通常は「イーサリアムメインネット」となっています。この右横のドロップダウンボタンをクリックし、ドロップダウンを表示すると、「非表示・表示 テストネットワーク」というリンクが出てきます。このリンクをクリックし、遷移した画面の「高度な設定:テストネットワークを表示」をオンにします。設定画面を閉じて、最初のドロップダウンを表示するとテストネットワークが表示され、選択できるようになります。(現在は、Ropsten、Kovan、Rinkeby、Goerliのテストネットが表示されます)
MetaMaskの「高度な設定」で「テストネットワークを表示」をONにすると、テストネットが表示されます
廃止されるテストネット
テストネットのうち、Goerli、Sepolia以外については、2022年9月に実施されたEthereumの大規模なシステム変更、いわゆる「ザ・マージ」(”The Merge”)にともない、廃止がアナウンスされています。Ethereum公式のアナウンスメントには以下のように書かれています。
Kiln、Ropsten、Rinkebyは廃止されます。
“Ropsten, Rinkeby & Kiln Deprecation Announcement” – ethereum foundation blog
Kilnは The Merge(ザ・マージ)の完了直後、Ropstenは2022年末、Rinkebyは2023年の第2四半期か第3四半期となる予定です。
このイーサリアム財団の公式アナウンスでは触れられていませんが、Ethereum公式サイトによると、KovanもRinkeby等と同様、廃止となるようです。
Kovan テストネットは廃止されます
Ethereum Testnets – ethereum.org
継続運用されるテストネット
Ethereum(イーサリアム)テストネット環境としては、Goerli、Sepoliaの2つの環境が継続運用されます。イーサリアム財団の公式アナウンスには以下のように記載されています。
GoerliとSepoliaは維持され続けます。
“Ropsten, Rinkeby & Kiln Deprecation Announcement” – ethereum foundation blog
Goerliはステーカー(Staker)や大規模なステークを必要とする開発者に推奨されます。Sepoliaは同期や動作検証のために比較的少ないブロックチェーンを使用するユーザーや開発者に推奨されます。
ザ・マージが完了した現在、テスト環境はGoerliかSepoliaを使用する必要があります。まだ、Rinkeby等を使用している場合は、早めに使用環境の変更が必要となります。
コメント